霊気紛争での発表時に一部ストンピィ愛好家から着目されたこの猫は結局使われないままに2年が経ち、スタンダードからも去ろうとしている。それでは寂しいなぁということで、申し訳程度にコレを入れたデッキで5-0したのを機に、このカードについてぼんやり考えていたものをテキストにしておくことに。

さて、このカードのデザイン上の性能は「まず熊として場に出て、熊の攻撃が通らなくなったら強化に変換できて無駄がない」というものだ。もう少し細かく表現すると以下のようになる。

たかり猫猿のここがGood!

・最低限2/2として出せるので、クリーチャーが尽きる確率を下げられる
・強化対象よりも先に置いておける
・巣の侵略者と同じく、能動的に陰鬱を達成できる
・対応除去でフィズらない

ここがBad!

・強化として使えるのがワンテンポずれるので機能しないことがある
・強化サイズが+2/2が限界なので弱い

http://85160.diarynote.jp/201711072000145336/
《象の導き/Elephant Guide》型ストンピィ②《象の導き/Elephant Guide》である理由
も参照のこと

まぁそういう使い方もできるね程度のおまけ

・横のクリーチャーをワンサイズ底上げしつつ布告の餌になれる
・2体を+1ずつできる

-----------------------------

まぁ、ここまではテキストを読めば分かる話。ただし、「まぁそこまで悪くはないから入りそうではあるけれど実際に他の何かを削って入れるか?」と問われた時Yesと答える人はそう多くはあるまい。僕も長らく入れたいと思いつつ「でも他のカードの方がなぁ……」と悩んでいた。


Q. じゃあ何故使ったの?
A. 今のストンピィの形だと《巨森の蔦/Vines of Vastwood》の4枚目が弱い気がしたので

現在のストンピィの構成では、蔦は1枚は引いてもいいが2枚は引きたくないカードだと考えている。より細かく喋ると、使者の加入によるメインプランの変化、更に象の導きの標準採用により、ストンピィのかつてのクロパ的性質は決定的に薄らいだ。これにより、巨大化系はデッキのプランに合わないカードになってしまっていると考える。デッキに最後に残された巨大化系、それが蔦だ。

このカードは1マナで対象を取る全ての除去を弾けるのみならず、相手の使う強化をカウンターしたり、幽霊のゆらめきを妨害したり、+4/4という大きな修正で最後の押し込みに一役買ったり、と大変器用な性質を持っている。

ただ、相手のブロッカーの突破という用途に使う場合は非常に弱いカードなので、他の強化を引いていない状況でこれのみを2枚3枚引き、かつ2/2が通らなくなるブロッカーを出されると厳しい。なにせ、クリーチャーのマナコスト2マナ位+キッカーでの2マナを自分から払ってようやく突破できて、そして後に残るのが強化されていないただの2/2なのだ。こんな動きが強かろうはずもない。

勿論、怨恨や吠え群れに合わせて撃たれた除去をカモる、そうでなくとも単純に強化後のクリーチャーへの除去を防ぐというのは重要な役割なのだが、それは怨恨や吠え群れを引いている時限定で強いカードだという意味でもある。かつては、他の巨大化系に対応しての除去に更に対応して~という役割があったが、現在そこに収まっているのは象の導きという、蔦を構えつつ唱えるのが現実的ではないカードだ。

というわけで何か別の場に残る強化に差し替える方が良いのではと思ったことがまず一つの理由。もう一つの理由としては、クリーチャーを保護する役割のカードを1枚減らすのだからクリーチャー全滅のリスクが上がるわけで、追加するカードはクリーチャーとしての役割を果たすものにしておきたかった。

そんなわけで今回試したのが《たかり猫猿/Scrounging Bandar》。使用感はまぁ可もなく不可もなく。ラグがあるとは言え、アップキープにマナを使わず強化ができるのは他のカードにはない利点なので、全く採用に値しないというほどでもない。ただまぁ、本人が戦闘するとただの熊なのは否めないので、多い枚数の採用はやはり不要だろう。入っても2枚が上限かなと思う。
誰かの面白サイドないかなと見に行ったらたまたま僕の分だったので現状のメモ。レガシー素人のただの感想文なので信憑性はまぁ。

https://www.mtggoldfish.com/deck/1316266#online

*リンク先が変わってたんで修正しました

スタート地点はこの記事のリスト。
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/5303

《戦慄掘り/Dreadbore》

PWをメインから一撃で屠れる点は貴重。特に非青のPWへの安定した対処手段となる。また、特にサイド後において、除去を極力減らしたいが、対処できなかった場合一瞬で負けるクリーチャーが入っているという相手にも残せるのは心強い。具体的には対奇跡のメンター、ミラーのアンコウ等。

スペルであるため、一度何かと交換した後でも《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》で使い回せることが、広い範囲への防御となる役割上非常に重要である。

最初は記事を読んで、色対策メインに入れるの好きじゃないしコレでいいだろ、と雑に入れ替えただけだったが、引いて「このカードを採用していて本当に良かった!」と思うことが多々。環境が大幅に変わらない限り外すことはないだろうと思う程使用感が良い。

*布告を1枚これと入れ替えるという案も見た。結構役割が違うカードなので個人的には疑問だが、実際に試しても違いを実感できる日は遠そうなのでなんとも言えない。

**ここまで書いて気づいたけど、《議会の採決/Council’s Judgment》っていう美しくない挙動のカードホント強いね。

《稲妻/Lightning Bolt》の不採用

最初は《戦慄掘り/Dreadbore》を《紅蓮破/Pyroblast》と入れ替えて使っていたが、そのうちこのスロットに不満が出てきた。

まず、単純な除去としての性能が現環境ではかなり低く見えること。新興の《死の影/Death’s Shadow》には稲妻を当てる対象がデルバーしか居ない。復権したカナスレにも同様。また、増加したコントロール系に対しては基本的に不要牌となる。PWに当てられるとは言っても、相手に+から入られると無力なことが多い。というわけで稲妻は解雇されて、デルバーだけを見るなら完全上位互換である紅蓮破がデッキに戻り、稲妻と戦慄掘りが入れ替わった形になった。

この変更は、デスタク、ソフトカウンターの入っている青白石鍛冶系といった、要するに稲妻の届かないクリーチャーが不在で、重さが響く相手には当然問題になるが、まぁ基本的に石鍛冶系にはコラコマの分有利なので、多少弱くなってもなんとかなるのでは?と考えた。リーグで全然当たっていないので特に稲妻だったらあああというシーンには今の所遭遇していない。実際あったらまた考える。

もう一つ重要な点として、このリストのマナベース上の問題がある。グリコンにおける稲妻は、最序盤に赤マナを出して、相手の軽量クリーチャーへの対処をすることが前提のカードだと思うが、デュアランを大量に並べるのではなく、基本土地を5枚並べるのを理想とするこのマナベースだと、最序盤の赤マナへのアクセスがかなり辛い。山を持ってくると足を引っ張るし、かと言ってデュアランを持ってきてしまうと、そもそも稲妻が除去として使える対象が入っているデッキはまず間違いなくマナ縛り要素があるのでこれまた問題になる。

デスタクがサイド後等に出してくるプロテクション黒への対処手段はこれか布告しかないので、完全に抜いてしまうことには不安もあるが、それが環境上の弱さと、デッキの他の部分との噛み合いの悪さとに目を瞑ってまで使う程の理由にはならないと思った。

*稲妻>プッシュとなる対象は
《月の大魔術師/Magus of the Moon》、《トレストの使者、レオヴォルド/Leovold, Emissary of Trest》、《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》、《真心の光を放つ者/Devout Lightcaster》 (デスタクの黒対策サイド)

このあたりとの遭遇頻度が増えるようならプッシュ依存型を見直す必要があるだろう。現状では前環境の4Cレオとは違い、黒とプッシュにはっきりと寄せる方が良いと感じている。

《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》

元記事を読んでいて、UU安定して出ないからってカンスペ切ったのに、BBを(特にしばしば最序盤に)要求する《湿地での被災/Marsh Casualties》を取るのはどうなの?と思ったのでこちらに。対処できるのは、トークン、チャリス、マングース、ネメシス(一応)、苦花やアズカンタ、相殺といった1枚で負けるエンチャント等。奇跡に負けるのは相殺に無茶苦茶されるパターンが多いので、そこを防げるこれの使用感は非常に良かった。

《仕組まれた疫病/Engineered Plague》

苦花もネメシスもならず者指定で完封!というツイートが流れてきたので《夜の戦慄/Dread of Night》からこれにしてみた。デスタクを強く意識していた元リストからデスタクに弱くなる変更ばかりしてるなこのリスト。

対カナスレ、3/3になった後のマングース2体とアンコウ、瞬唱が睨み合った所で、ハンドがスカスカだったので強引に決着するべくマングース指定で使って勝った時と、対レガシー仕様人間で初手に引いてうひひと思った所で帆凧にパクられ、挙句に一生土地を引き続けて負けた時の2回しか引いていないので使用感は不明。

《罠の橋/Ensnaring Bridge》
いいサイドだと思った。詳細は元記事を。

《真髄の針/Pithing Needle》不採用
割られるからPW対策として安定しないし……スニショ、マリットレイジ対策としてはよりインパクトの強い罠橋でいいと思う。


■その他試したり思ったこと

・サイドのフラスター、囲いの減量
コンボに逆立ちしても勝てなくなりそうなので維持した方が無難だと思った。

・フィニッシャー枠としてネメシス
一度試した所、フィニッシャー枠なのにクロックが遅すぎて、ヒムでごそっと抜いた後でも余裕でリカバリが間に合ってコンボを決められたことと、疫病の採用に伴ってアンコウに戻した。アンコウは確かにソープロ系デッキには弱いが、その他の相手には1マナで出せてキルターンが早いことの重要性が上回るので、白への優位は別の点で確保する方が良いのではと思う。

また、自分のネメシスは相手のネメシスへの対策にならないが、アンコウは一応ならないこともない(すれ違いで殴り合った時、3点同士だと普通グリコン側が負ける。5点ならまぁ)のも。

・基本土地山積みのためにフェッチランドが多い上、ずっと受け身なのでかなり痛い
このため、4cレオよろしく《毒の濁流/Toxic Deluge》を使うのは強いには強いが、ライフ補填手段が無いので厳しいと感じる。

・アンコウ2?1?
対コンボのメインは運良く第一波を捌いてジェイスを叩きつけて後続を断つ位しか勝ち筋がないので、アンコウが2でクロックが早くてもさしたる+にはならなさそう。サイド後はクロック・パーミッション風味に動けなくもないので、クロックの速さが生きる。壁としてのアンコウが強いマッチでは当然2欲しい。具体的には各種デルバー(死の影含む)。ただしその辺りを意識する場合、入れ替わりで抜けるのはジェイス3枚目になるのが自然なので、結構な方向転換になるかと。
9/8追記あり。


東北きりたんの4割勝てるPauper01
http://www.nicovideo.jp/watch/sm33794830


前置き:このコンセプトはとても好きなので、大変面白く見させていただきました。次回も楽しみにしています。

この項はプレイについてのみ。サイドについてはストンピィ熱が上がったらいつか書きます。気づいた点を書いていったら流石にコメントでやると迷惑な分量になったのでブログにしました。

対親和

2T目、使者→スカージと出して余った緑マナで怨恨orイラクサ

僕はイラクサを出してクリーチャーで5点クロックを形成する方が好みです。

単純な話、対応されないなら怨恨は速攻付きパワー2とみなせるので最大値が大きいということと、相手が次のターンにブロッカーを出した上で感電破を構えてこれる可能性が然程高くないこと、地上2/2は相手に4/4を出されるとクロックとして機能しないので、怨恨をどちらかといえばこちらにつけたいこと、以上が理由です。

ブロッカーなし&赤マナ構えなら怨恨をつけずに殴って対応を見た上で攻撃後につけてもいいですし。5点は放置できないので火力を持っていればおそらく使ってきます。ただ、親和戦において怨恨はかなり重要なので、万一にも対象不適正で消されたくないという点を重視するならば実戦のプレイでも悪いというわけではないので、「好み」という表現にしました。

3T、使者に怨恨の是非

装備するためだけに2マナ消費させれば、それはそれでテンポを相手が大損していて、3/1ライフリンクのスカージへの対処が遅れると見込めるので使者に怨恨をつけるべきだと思います。トークンが消えるとラストターンのフルアタックでレインジャーが1点通せますし。

というか、使者に怨恨をつけない場合は4/4に地上をすべて止められるのを許容してしまうわけで、使者、イラクサ、レインジャー×2、この後引くかもしれない地上クリーチャー、これらの全てが死に札になるという意味になります。これは望ましい展開ではありません。それだけの犠牲を払って得たのが、除去1発で崩壊するスカージ単騎路線では割に合わないと思います。スカージの所がシラナならば、メインは無敵と言って良いので、ここに重ねる選択も場合によってはありです。

攻撃後(2:30頃)
パワー3ライフリンクの時点でライフレース上は既に重大な脅威なので早晩除去が飛んできます。蔦があって守れるなら別ですが、そうでないのならば「スカージに除去」という相手の行動の価値を高くしすぎないようにイラクサにつけるほうが良いです。

スカージに2枚貼りすると、相手が実戦のように(蔦を警戒したとか土地を引きたかったとかで)相手ターン中に焼くのでなく、攻撃後にスカージを焼いてきて、それを防げなかった場合に怨恨2枚、4点分を損してしまいますが、イラクサに分散しておけば2点で済みますし。

ラストターンについて
実質的に叱責をケアしつつのシラナ着地に成功したのはいいプレイだなと思いました。アーティファクトの枚数的に次ターンに死ぬことはないですが、シラナが消された上で、エイトグが巨大ブロッカーとして鎮座し、地上ダメージが通らなくなるとここからでも負ける目が全くないというわけではないため、一応先に火力を釣ってシラナを確実に通す実戦のプレイで正しいと思います。

余談ながら数ターン前、土地を置かなかった分のラグがなければこのターン5マナを生成でき、確実にシラナを通せますから、ここの選択が発生するのもその影響と言えます。ただ、相手の最高効率ムーブである、「こちらの攻撃後に怨恨がついたクリーチャーを除去」を選ばせないようにするため、蔦や吠え群れの存在による牽制はかなり重要です。なので、土地を出さずブラフとして構える方が良いこともしばしばあります。相手がどの程度それを感じているかは推し量るしかなく、後に引くかもしれないカードの展開と秤にかけてどちらが良いかは最終的には好みです。

G2初手について
後手な時点で地上の突破は結構怪しいので、1ターン目にイラクサを出せた所でそこまでダメージを稼ぐとは期待できません。

この手札は、使者からシラナを出せてテンポは悪くない、なおかつ吠え群れの陰鬱達成の餌も出せている、ということで勝ちまでの道筋を描けるため、むしろかなり良い部類の初手だと思います。

対青単

先手2T >青単なら飛行生物から展開するのが良さそう?

飛行を出しても安定的に殴れるわけではないのでむしろ逆です。故に単純にクロックの大きさと、後に回した時の妨害のされやすさとが選ぶ基準になります。よって選ぶべきプレイは、怨恨をつけて殴ってのイラクサ2体目。

仮にスカージを出すにせよ、せめてもう片方はイラクサ、もしくは怨恨で殴ったイラクサをアンタップしておくべきです。実戦のプレイだと、3T目に何かしら緑の呪文を攻撃前にプレイしないとイラクサが殴れない=何かプレイしてくる予定があるということが相手に分かるので、そこをスプライトでカモられる危険性があります。

対フェアリー系におけるスカージは対飛行ブロッカーという役割もありますが、1マナでできるCMC2のアクションということで、テンポよくスプライトに引っかかりにくい動きができる点も重要です。

9/8追記:
■スカージと悪党とのコンバット中
コメント欄参照

7:10頃

赤マナを有効活用する手段がないので、使者→イラクサでもイラクサイラクサでも行動回数は同じ。というわけで別の基準で選ぶことになります。次のターンに使者を対抗呪文された所でテンポもカードも1:1なのでさしたる痛手ではありません。

ここで使者に目くらましが刺さった場合は忍者が止まらず敗北へ向けた特急に乗りかねないこと、次ターンにイラクサを出してスプライトにカモられるとこれも負けルートに乗ること、次のターンに何か赤マナを使う手段を引いた場合は使者経由で使えればテンポが良いこと等、イラクサ2体を出す方が明確に勝ります。

7:40頃、忍者へのブロックについて
変異原性の成長で生き残られると面倒なのでダブルブロックするべきです。デメリットはイラクサでなく使者が死ぬという程度で、手札の内容的にほぼ問題にはなりません。

G2の2T
強いアクションかは置いておいて、まぁシラナなのかなと思います。デルバーは一応未変身ですし。そもそもシラナはこのマッチだと強くないので減らせるなら減らした方がいいとは思います。

3T
実際もうクロック負けてるんですよねこの場面。青単視点で考えた時、シラナは既に脅威ではなく、負け筋は
・勇壮な対決でデルバーを落とされる
・射手+レインジャー(or《はらわた撃ち/Gut Shot》)でデルバーを落とされる
・空への斉射でデルバーを落とされる(ただし最近は採用率が低い)

です。デルバーが生きている限り、怨恨がついた上で+3が複数という、カウンターで容易に妨害できる動き位でしかライフレースに負けない。よってシラナは無視して次のアクションにカウンターを当ててくるのが青単視点の正解プレイであるため、このターンのやりとりでは対抗呪文の有無は判別できないです。

その上でこのターンどう動くべきだったかという話になりますが、相手ライフ20対自ライフ12、相手パワー5、こちら4、のライフレースは絶対に勝てないので、射手の1枚目を囮に2枚目を出して、次のターンに都合よくレインジャーやはらわた撃ち、あるいはスカージあたりを引いてデルバーを除去、位が望める最善かなと思います。ただし、これはほぼ負けな状況で、少しでも勝ち目が出る選択はこれかなぁという程度の話です。

G3の3T目、シラナに蔦をキッカーしたところ
まぁしょうがないです。見捨ててリバーボアを出しても嬉しくないですし。

4T目、スカルガン or リバーボア

基本的にスプライトに引っかからないアクションがあるならそちらを優先した方が良いケースが多いです。この局面においては、ライフ16で、パワー3のデルバーだけで殴られるのと、スプライトが追加されてパワー4になるのとでは他に何もなかった時のキルターンが1違うという明確な理由もあります。

第2アクションはスカルガンか、それとも怨恨か?

既に敗勢なので、シラナによる一点突破に望みを賭けるしかなくなっているかと。怨恨で良い気はします。

13:20頃、アップキープに射手を起動した場面

変異原性の成長でスプライトを強化されると、1点多く殴られてしまうので自ターン中に焼く方が良いです。勿論、自ターン中に焼いた場合、射手の起動後に相手がスプライトを単なる飛行1/1として素出ししてきて、殴られて1点追加、という裏目も存在しますが、前ターンに断絶経由での使い回しをしているならば、この時点で追加のスプライトはまず持っていません。可能性として今の1ドローだけなので、ケアする優先順位は変異原性の成長の方が上です。

13:30頃、スカージをプレイした場面

目くらましに引っかかるようになりますが、スカージを巣の侵略者のトークンを経由して出すと、リバーボアが殴れるようになるため、キルターンが1縮まる可能性があり、その場合お祈りする回数が1減ります。

持っていたなら前ターンまでにいくらでも使う機会はあった&デルバーが変身しなかったので、目くらましがあるとして直前の忍者でのドローのみ。0ではないですが、それよりは与えてしまう2回目のチェックの機会で変身する可能性の方がずっと高いので、侵略者を経由した方がいいです。
他セットでは全てアンコモン以上だが、これでのみコモンで収録されていて、Pauper環境で利用可能なカードがある。Scryfall(か、MO上での検索)でも使わない限りはなかなか存在を認識できないそれらのカードを一覧にしておくことに多少の価値はあろう。

とは言え数は多くなく、全体で10枚、そのうち実用レベルのカードは3枚しかない。この3枚だ。

《ボトルのノーム/Bottle Gnomes》
《パッチワーク・ノーム/Patchwork Gnomes》
《ミューズの囁き/Whispers of the Muse》

おまけの7枚

《リモコン飛行機械/Telethopter》
《スカイシェイパー/Skyshaper》

《有角スリヴァー/Horned Sliver》
《棘のスリヴァー/Barbed Sliver》
《鎧のスリヴァー/Armor Sliver》
《記憶術のスリヴァー/Mnemonic Sliver》

《堅牢な防衛隊/Staunch Defenders》
*ちなみにこのカードは旧枠モダンで活躍中。

さて、《ボトルのノーム/Bottle Gnomes》は分かりやすいカードなので特に考察の必要もない。たまに黒コンのサイドで使われている。

メインでの採用例も一応ある。
https://www.mtggoldfish.com/deck/415500#online

次に、《ミューズの囁き/Whispers of the Muse》について。これはPauperにおいても中々の採用実績を誇るが、カードの性質に多少の問題がある。

①軽いキャントリップとして使うなら、お馴染みの思案定業渦巻く知識の方が強い。
②序盤に軽いキャントリップとして使い捨ててしまうとアドバンテージを取れない。《熟慮/Think Twice》の方が安定している。墓地回収とは相性がいい。
③バイバックしてもCMCは1なので、6マナ寝かせて対応ができなくなった所をスプライトに狩られる。

これらの特徴を考えると、採用例として多い青黒ティーチング系のデッキには実は向いていないカードだと考えられる。2枚や3枚入れるなら別だが、さして強くはない素のこれを積極的に使いたいケースは多くはあるまい。何より③は対応型デッキのこれにとってはかなりの問題だ。

よって、腐る程マナが出るが何もやることがない、となる可能性があるトロンや、
https://www.mtggoldfish.com/deck/590029#online

マナだけ余って手詰まりになることがあり、墓地からの回収もあり、かつコスト軽減でバイバックも軽くなる、ファミリアコンボへの採用がいいのではないだろうか。どちらのデッキも対応に重きを置いたデッキではないので、③が青黒コンよりは問題になりにくいのも良さそう。どちらも時間との戦い系デッキなので自分では面倒臭くて使えないが。

ただ、《ミューズの囁き/Whispers of the Muse》にとって《神秘の指導/Mystical Teachings》はベストパートナーだが、トロンの使う《神秘の指導/Mystical Teachings》にとっては《ミューズの囁き/Whispers of the Muse》はベストパートナーではない。これをサーチしてくる場面が相当少なそう。そこを考えるとやはりファミリアだろうか。

最後に、《パッチワーク・ノーム/Patchwork Gnomes》について。Pauperのアグロよりデッキにおいては《野生の雑種犬/Wild Mongrel》に次いで強い共鳴者なので、《激発/Violent Eruption》のような強烈なマッドネス呪文がやってくれば可能性はある。

このカードが実はPauperでは使えることを知ってからというもの、赤緑マッドネスが形にならないかなとしばし考えた後、やはりマッドネスギミックがどう考えてもお荷物だという現実に向き合う無駄な時間を時折過ごしてしまう。悲しい。

採用例は一例のみある。《拷問生活/Tortured Existence》を引かない/対処されるとさっぱり機能しないことで有名な拷問生活において、追加の共鳴者は多少は必要なのだが、無色かつ場持ちが良いこれは一応の選択肢にはなるようだ。
https://www.mtggoldfish.com/deck/941398#online
結果を残したリストに何の結果も残してない僕があーだこーだ言っているだけなので、てきとーいってらぁ位で。

生物いっぱい型

https://www.mtggoldfish.com/deck/204552#online
https://www.mtggoldfish.com/deck/215716#online

今はこれらに使われてる一部のカードが禁止されてるとかは置いといて、ぜんっぜんオススメしません。当時軽く回したことはありますが、「《翻弄する魔道士/Meddling Mage》でパスを止めて鋼で4/4にして火力を避けてWin!」というのは寝言の類でした。

ドラン型

https://www.mtggoldfish.com/deck/334819#online

土地が痛い、マナフラッド率が凄い、銀弾部分は(今なら)カンパニー系を使えば完全上位と、今敢えて選ぶ理由はありません。

エンチャントいっぱい型

https://www.mtggoldfish.com/deck/247378#online
https://www.mtggoldfish.com/deck/249941#online

メインに除去が入ってないデッキというのは、大抵ズアーが出る前にプレイヤー本人が死ぬデッキなのでズアーは要りません。それ以外のデッキ相手だと、半端に2枚ズアーを入れるとただ単に腐ってた除去を活用されてしまうだけになり、足を引っ張ると思います。無駄に色増えてますし。

トラフト&未練型

https://www.mtggoldfish.com/deck/433125#online

僕の今回のリストのベース。除去が当たらないトラフト&あんまり除去が当たらないズアー&布告は未練でカバー、というのは方向性としてスマート。当時はBG系が多かったので未練は強かった。

でもジェイスは謎。とりあえずそのままで一人回しはしましたが、変身後が強いと思えません。また、除去が薄いのでクリーチャーデッキにボコられる感じがします。この点は《致命的な一押し/Fatal Push》の登場で解決しましたが、プッシュでズアーが除去されるというそれ以上に大きい問題も同時に発生。なんでアレ4マナまで圏内なのさ、3でいいだろ3で。《燻し/Smother》の立場考えろよ、といつも思います。

これへのより細かい感想はこちら。
http://85160.diarynote.jp/201701112022467243/

ちなみに、当時跋扈していたバントエルドラージに本当に、もうほんっっっっっっっっとうに勝てませんでした。メインから爆薬2枚位入ってるし、除去はパスだし、トランプルついてるの居て未練のチャンプブロックの意味が薄いし、《変位エルドラージ/Eldrazi Displacer》でズアーは完封されるし、速度相手の方が早いし、で勝てる要素が皆無。まぁもうほぼ消え去ったデッキなのでいいんですけど。


瞬唱型

https://www.mtggoldfish.com/deck/723023#online

多分かなり似た思考過程を辿って完成したと思われるリスト。見たときに「がーん似たのがある、まぁでも方向性あってそうってことだからいいか」と思いました。

ただしハンデスと《差し戻し/Remand》の共存は根本的な相性が悪そうで疑問。差し戻しは根本的な対処ができない代わりにテンポを得るカード、ハンデスはテンポを失う代わりに対処をするカード。

ハンデスでスカスカにした後に残った/トップされたカードに差し戻しを当てても、単に唱え直されるだけで何一つ強い要素がありません。カウンターとハンデスを併用するなら、上のリストの2枚《否認/Negate》の方が合理的だと思います。

まぁ一番の難点は、このリストの当人は翌週ズアーを抜いたってことですね。

https://www.mtggoldfish.com/deck/729620#online
ポイントA~D, A’~D’を総合すると、

実際使ってみる前は、コンボへの耐性を下げる代わりに、土地嵌めされづらく、かつ対フェアに強くなった半分バーン風味のデルバーだと思っていたが、
実はそこまで土地嵌めに強くなっていない上に、対フェアでも不毛が無いせいではっきりと不利になっているマッチがある。不毛の欠如の影響は対フェアのみならず対コンボにも及び、想像よりも遥かに対コンボがきつくなっているという所。

で、レガシーリーグで当たるデッキは
・グリデルは別に多いという程ではない
・コンボ(種類はともかく)はとにかく多い
・レオヴォルド系も多い

といった具合だったので、コンボに相対的に弱く、レオヴォルド系がはっきり辛い、果敢型青赤デルバーはレガシーリーグで使うべきデッキではなかった。

青赤の最終型はこんなリストに。

土地(16)
3 Volcanic Island
2 Snow-Covered Island
2 Snow-Covered Mountain
3 Polluted Delta
4 Scalding Tarn
2 Flooded Strand

クリーチャー(10)
4 Delver of Secrets
4 Monastery Swiftspear
3 Bedlam Reveler
3 Young Pyromancer

除去(8)
4 Chain Lightning
4 Lightning Bolt

2 Price of Progress

4 Brainstorm
4 Ponder
4 Gitaxian Probe

4 Daze
4 Force of Will


・《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》の採用

《嵐追いの魔道士/Stormchaser Mage》というカードがただただ弱かった。初手にこれ以外のクリーチャーがない、コンボ相手なのにブルーカウントがない、という2つの局面以外の全てで弱い。

2マナという重さと速攻が矛盾していて、これを引いたので出して攻撃!ダメージは1点だけだけどな!という動きが強かろうはずもなく。飛行があると言っても、《悪意の大梟/Baleful Strix》を回避できないという極めて大きな問題がある。

その点、《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》は、

①マナを残して出せば、即除去されても1体はトークンを出せる

火力を本体に投げつけるという本来弱い動きでもデッキ的に一応許容できるのでここは重要。

②環境に多い布告に強く、《悪意の大梟/Baleful Strix》を一応乗り越えられる

以上2点からフェアデッキ相手に強く、実はコンボ相手にも

③出した後は構えて相手のドローソースを適当に打ち消していけばクロックが伸びる

という特性上、ソーサリータイミングでもドローを使っていかないとダメージが伸びない《嵐追いの魔道士/Stormchaser Mage》よりも断然強かった。

まぁ、これを使うならば果敢型ではなく、《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》あたりと《不毛の大地/Wasteland》を入れた青赤2色に絞り、《呪文貫き/Spell Pierce》を入れたクロパメイン型の方がいいのかも知れないのだが、そうすると単体火力が減り、何のために《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》を犠牲にしてまで2色に絞る必要があるのか?という疑問を解決できない気がしたので、デッキのベース自体は果敢型のままにした。

実際、この疑問を乗り越えられなかったので今は素直にグリデルを使っている。


・《騒乱の歓楽者/Bedlam Reveler》を3枚


最低2マナな上にRRのダブルシンボル、土地もクリーチャーもカウントせず、と実質的にアンコウより相当重い代わりに、相手のアンコウを一応乗り越えられ、3ドローが出来て消耗戦に強く、連打が可能である、というカードの特性を活かした形。4枚はキャントリップを増やすなりでかなり構成をいじらないと無理だと思ったので3枚に留めたが。

重さは確かに辛いものの、基本土地を採用しているため、土地をある程度安定して伸ばすことが可能なのでまぁなんとかなる。これを使えることがこの果敢型青赤デルバーというデッキの存在意義だと言っても過言でないので多めに使いたい。

ただし、コンボ相手にサイドアウトするのが基本なので代わりの何かがサイドに必要になる感はある。

・《謎めいた海蛇/Cryptic Serpent》不採用

歓楽者より軽いと言っても1マナだけなので対コンボで早期のクロックとして使えるわけではない、アンコウと相討ちになる6/5というサイズが弱い、それなのに《紅蓮破/Pyroblast》系で死ぬ分除去耐性が低い。FoWのコストになるということ以外特にいいところがないカードだと思うので、こんなのを入れるスロットがあったら、ということで3枚目の《騒乱の歓楽者/Bedlam Reveler》を取った。

・《火炎破/Fireblast》や《轟く怒り/Thunderous Wrath》の不採用

素で引いて弱く、かつ《騒乱の歓楽者/Bedlam Reveler》のコスト軽減に貢献できない。《渦まく知識/Brainstorm》頼みになってしまう局面も多そうなので、たった4枚のブレストに過剰な負担をかけないために不採用。後者はそりゃアンコウを除去できるが、そんなに都合よく奇跡できるなら苦労はしないわけで。

・除去8枚

軽い単体除去を、全体構成と矛盾なく取れるからこのデッキを使うわけでそこを減らして、除去としての性能が怪しい《蒸気の絡みつき/Vapor Snag》なんかを入れる位なら最初から黒を混ぜて布告でも使う方が100倍いいのではないか。
サンプルリスト:(見かける様々な要素の詰め合わせ的なリストがこれ)
https://www.mtggoldfish.com/deck/899083#online

とりあえず使い始める前に、僕がこのデッキの構造上の利点だと思ったものは以下。


ポイントA:

2色に絞っているので基本土地を採用できる。従って《不毛の大地/Wasteland》に代表される土地嵌めに強い。

ポイントB:
デッキの構成的必然として、単体火力を多く採用している。つまり除去が多い。これにより、軽量クリーチャーを確実に除去できる。

ポイントC:
《騒乱の歓楽者/Bedlam Reveler》により、デルバーデッキとしては珍しくアドバンテージを能動的に取れる。

ポイントD:
特殊地形対策が、《発展の代価/Price of Progress》で一撃!なので、1枚ずつ不毛の大地で止めるよりも効果が高い相手が存在するはず。

で、実際試してみるとどうだったかというと。

ポイントA’:

基本土地を採用しているので、デス&タックスや、土地単からのほぼロックと言えるレベルの土地嵌めは喰らいづらくなっている。BtBは問題ないし、月も島フェッチさえできていれば無視できる。

しかし、基本土地を採用しているが故に、島+ボルカや山+ボルカのような土地の並び方になってしまうことがしばしばあり、ボルカを1枚(2枚)割られただけで一瞬で色事故して敗北するケースが無視できないレベルで存在した

特にデッキが停止する山+ボルカからボルカ破壊のパターン。それを回避するために土地を多く置かざるを得ず、不毛されなかった際はマナフラッド気味になる。

また、初手の土地が山だけの場合ほぼマリガン、島だけならとりあえず始めるが動くのは難しい、等不毛されなくても基本土地が原因となる色事故を起こしがちなので、土地の総数を絞りたくない。しかしそれは後半のマナフラ率と引き換えであって……とループする。

土地が多いデッキ(4C、BUGコン)で1枚ずつ基本土地が入っている例とはわけが違った。

青赤2色で基本土地をしっかり取るならば、
https://www.mtggoldfish.com/archetype/legacy-ur-49913#online

《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》を取り、重めに寄せた構築の方がデッキの矛盾が発生しづらいので良いのではないかなと感じた。まぁ、それはそれとしてこのデッキが良いデッキに見えるかというと首をかしげるのではあるが。なんでDaze残ってんの?Dazeと噛み合う感じのカードがデルバー4枚しか残ってないけれど。瞬唱入れるならなおのことDazeはNGで、《呪文貫き/Spell Pierce》や《狼狽の嵐/Flusterstorm》あたりを入れるべきでは。

青赤デルバーのマナベースの矛盾の問題を解決しようとしている意欲作はこれ。
https://www.mtggoldfish.com/deck/984710#online

島1山1ボルカ4、フェッチは山系も混ぜてあるのが特徴。

実際に青赤デルバーを使ってみて基本土地の弱さをしみじみ感じるまでは、1枚ずつではリシャポに耐性が無い&基本土地だけだとデッキの主砲、《騒乱の歓楽者/Bedlam Reveler》が出ないのが気になる微妙なマナベースだと思っていたが、僕が気になった問題点を解決するアプローチだったのだろう。

デッキ構成の他の部分も結構好みなので、別の項目でまた細かく触れる予定。

ポイントB’:

蔓延する《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》や、《トレストの使者、レオヴォルド/Leovold, Emissary of Trest》、言わずもがなの《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》、

さらには白系が使う《ルーンの母/Mother of Runes》や《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》、《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》等、即座に除去しないと負けに直結する軽量クリーチャーは環境に多い。

それらへの対処の確実性が増す単体除去多めの構成は魅力的に見えた

実際はどうだったかというと、まず、デルバーと死儀礼を確実に焼けるのでグリデルには「それなりに」有利がついていたと思う。「それなりに」なのは、《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》が高速で出てくると対処が困難で一瞬で敗北することがしばしば、カラーパターン的に《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》はカウンター以外にどうやっても対処できないなど、簡単に負けるパターンもあるのであくまでそれなりに程度。

アンコウの方は、火力2連打で焼いてアドバンテージを《騒乱の歓楽者/Bedlam Reveler》で補充というパターンがあるのでまだマシではある。ただ、基本土地できちんとマナが伸ばせる分、相手のソフトカウンターで対処されづらいのもあり、何度も言うが「それなりに」程度ではあれ、感触は悪くなかった。

一方、レオヴォルド系(4C, BUG)は、蓋を開けてみるとかなり厳しいゲームを強いられることになった。

やってみる前は、こんなデュアラン大量に並べないといけないデッキなら死儀礼焼いてちょっと削って《発展の代価/Price of Progress》で一撃だろ~~と思っていたが、やってみると綺麗に《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach》で手札を刈り取られた後に悠々と出てくるレオヴォルドにより蓋をされて為す術なく敗北。

また、《悪意の大梟/Baleful Strix》が(最初は《嵐追いの魔道士/Stormchaser Mage》を採用していたのもあり)こちらの全てのクリーチャーに対して有効だったのも非常に厳しい。わずか2マナで雑に出すだけでニコイチを取られるようではゲームにならない。《粉々/Smash to Smithereens》を1枚サイドインするようにしたが、ドミナリア発売に伴うルール変更で「ジェイスについでに3点」ができなくなったのでこれも微妙に。

総じて、デルバーデッキなのに不毛を採用していないことの弱さが如実に出てしまったように思う。《目くらまし/Daze》がほぼ使えないレベルのカードと化すのが早すぎる。しかしスローゲームをやりだすと当然相手の方が圧倒的にアドバンテージ面では強いので、どうにもならない。

ハンデスからの消耗戦を戦うためのこちらの主砲、《騒乱の歓楽者/Bedlam Reveler》はドロー能力をレオヴォルドに完封されてしまうだとか、《青霊破/Blue Elemental Blast》系が1枚採用されている+《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》でそれを使いまわしてくるだとかで、勝ちパターンに持ち込むのが難しかった。

BUG相手には、むしろ相手がたまたま不毛2枚を引いた時にポロッと色事故させられて負けることもある始末で「無理だわこれ」という感想になった。《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》がない分まだトップ勝負時になんとかなる気はするが、しかしこちらはその分序盤に撃たれるともっときつい《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach》が多いわけで。

デス&タックス戦についてはそれなりに目論見通りに戦えたように思う。

しかし、クリーチャーサイズとカラーパターンの問題で、相手が雑に引いてきた《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》からの《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte》、《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》、《殴打頭蓋/Batterskull》の全てで一瞬で敗北することもあるし、一度動き出した《ルーンの母/Mother of Runes》を止める手段は、専用サイドとして《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》を取るか、あるいはもうちょっとマシに針の類を使うしかなく、あくまで悪くない止まり。《古えの遺恨/Ancient Grudge》の赤単で使えるVer. が出てくれないと完全に有利にはなりきらないなぁと感じた。

当然だが、コンボ戦ではこれらの火力は足を引っ張るので(先手かつ《僧院の速槍/Monastery Swiftspear》が2枚とかあった上で火力を連打できれば速度勝ちできることがなくもない)、他のデルバー系に比して相性が悪くなっている。


ポイントC’:
これは使用感が素晴らしかった。特に対ミラクル戦ははっきりと相性がいいと感じたのはこのカードの力が大きい。このマッチでは受けに回る必要がなく、基本的にひたすら攻めに回っていればいいので(キレメンターを除き)火力は全て本体に撃ち込んでいい。これにより《騒乱の歓楽者/Bedlam Reveler》が軽くなるのが早く、息切れしかけた所で3ドローしつつフィニッシャー級の生物が出てくるのは素晴らしい。このカードは複数枚引くと、カウンターされた場合を除き1枚以外が無駄になるのが難点だが、

「《渦まく知識/Brainstorm》で2枚目をトップに積み、1枚目で3ドローして後続を引き込んで連打」

という動きでこの問題を解決できる。軽減条件こそ探査よりも厳しいものの、追放する必要がないため連打が可能なこのカードの性質に本当に噛み合った動きで、このデッキ独自の強みと言える

ただし問題点もあり、コンボ戦では基本的にサイドアウトせざるを得ない辛さがあるのと、前述通り、ドロー能力が《トレストの使者、レオヴォルド/Leovold, Emissary of Trest》に完封されてしまう。また、場に出るまでに時間がかかるので《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach》でディスカードさせられる。消耗戦においてカード4枚分になる圧倒的アドバンテージを買って使用しているのに、消耗戦をさせられる相手のうち最も多く居るデッキに対してあまり強く使えないのは辛い。

ポイントD’:
多分土地単相手には強くなっている。

問題はやはり4CやBUGコントロールで、これらのデッキ相手には《発展の代価/Price of Progress》の一撃圏内、だいたい8点位、までライフを削らせてもらえないことの方が多かった。

それに加えて、いわゆるアンフェア、コンボデッキにはほぼ全く効かないカードなのも痛い。スニークショーやANTには《不毛の大地/Wasteland》によるマナ拘束で開始ターンを遅らせる&相手を《目くらまし/Daze》や《呪文貫き/Spell Pierce》の圏内に留める戦略がそれなりに有効なので、そこが2マナ2~4点火力の《発展の代価/Price of Progress》になってしまっているこのデッキは対コンボで脆い。また、ダークデプスコンボにも不毛が無い分純粋に耐性が下がっている。
4月頃、Treasure Chestに追加された《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》のFtV版を買いました。

Pauperの青赤デルバーでは、デルバーはサイドアウト候補筆頭な上に除去が秒速で飛んで来ます。折角買ったのにあまり勇姿を見てあげられないのも勿体無いねと思ったので、折角だからと他フォーマットで使うことに。以前試したことがあり、モダンのデルバーは現状かなり弱いのを知っていたので素直にレガシーへ。

環境の王者グリデルを選ぶと、おそらくそれなりの数のミラーマッチを戦うことになります。レガシー素人の僕がそんなことをすると負けそうなのでデッキをズラす方がいいだろうと思い、青赤デルバーを選択しました。結果としては「これは現状のメタにおいてデッキと呼べる代物でははない」という結論に至り、グリデルに乗り換えました。

ただまぁ結構動かしていて楽しくはあったので、いつかメタが移り変わった時に考えていたことを思い出せるように記録しておきます。

一応注意書き:以下の記述は全て、レガシー素人の考えなので誤りを含む可能性があります。特に~デッキが苦手だった云々。プレイの間違い、サイドが不適切等で本来有利なものを不利と思ってしまっている、あるいはその逆でたまたま運良く勝てているのを有利と誤解しているケース等。
あれこれ書きましたが、今までの話はズアーを採用する意味があり、なおかつ他のデッキの劣化版とはならないデッキを組む方法論ではありますが、最終的に強いデッキを組むための方法論では全くありません

平たく言ってしまうと、他の組み方をすれば、「ズアーを投げ捨ててテフェリーとかジェイスとか他のクリーチャーに替えた方がずっと強いデッキになる気もするけれど、差別化を求めてあれこれ考えたこれよりは相対的にマシなデッキ」が生まれるかも知れません。

ただ、僕としてはズアーというカードが好きなので、ズアーが足を引っ張ってるというのが分かってしまうと辛いものがあります。なるべく他デッキの劣化版にはならない方向で作りたいです。

これら一連の記事が《結界師ズアー/Zur the Enchanter》を好きな人の何かの役に立てばいいなと願いつつ終わりにします。

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以下はリンク集です。

・スタンダード時代のズアーについて、あの八十岡プロが語る!


http://web.archive.org/web/20090309035445/http://mtg.takaratomy.co.jp:80/others/column/kawasaki/20080719/index.html

http://web.archive.org/web/20081021220603/http://mtg.takaratomy.co.jp:80/others/column/kawasaki/20080916/index.html


第四回と第五回。また、第四回の最後には《永久モズ/Evershrike》とズアーをハイブリッドしたデッキを構築している部分がある。


・ズアーの開発秘話

https://mtg-jp.com/reading/mm/0018484/


元は4マナも呼べたらしい。まぁそうだろうなっていう感じの開発過程。


・その他、日本語のズアーについての個人ブログ等

https://noki58.hatenablog.com/entry/2018/05/28/194541


http://lotuspetal.diarynote.jp/201703242255272773/


http://types-mtg.blogspot.com/2016/06/daily-digest-esp-zur.html


http://clockwork-wine-glass.seesaa.net/article/420186791.html


http://nyoninzou.blog.fc2.com/blog-entry-23.html



・VOICEROID(東北きりたん)によるMO実況動画


http://www.nicovideo.jp/watch/sm32223130
(ズレ修正版、基本こっち推奨)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm32004633
(上の最初に投稿された版)

ある程度回した上での覚書とか。適当に散らばってます。

③への追記

・土地についての脳内理論

少なくとも現状リーグをやってる限りでは、馬鹿にできないレベルでミシュラン選択による影響がありそうです。結構稲妻を適当に瞬唱とかに撃たれます。フレリでの話なので相手が下手なだけかも知れないですけれど。

ただ、別のパターンとして中盤にトップしたハンデスを(次ターンのトップの受けを考えるとマナ的に使う必要があるので)使ったら稲妻を本体に連打という形もあったので、そこまででもないかも知れませんが。青系のPWへの対処としては当然ですが青黒ミシュランの方がいいです。

・土地の枚数はこれでいいのか

ここは疑問です。マナフラ受けはありませんし。土地3はないとゲームにならない、4までもスムーズに伸びてほしい、5枚も1色しか供給できない土地が入る、ということから24にしています。

減らすなら青黒ファストランドから1枚、ミシュランから1枚、とか?全体の枚数を減らすと青白ミシュランが運用できないので色のバランスも含めていじる必要がある気はします。

・軽量ドロー枠について

《血清の幻視/Serum Visions》はキャントリップの分際で引いて弱い局面が結構多いのに対し、《選択/Opt》はとりあえず最低限の仕事はしてくれます。なんだかんだサイド後等に構えつつ動きたい場面も存在するので、《選択/Opt》でいい気がしました。

フェアデッキで使う場合、カードの性質として、初手時の強さは
《血清の幻視/Serum Visions》>《手練/Sleight of Hand》、《選択/Opt》だと思いますが、

中盤以降は幻視のみが明確に劣るカードだと思います。まして、このデッキはハンデスデッキかつ土地が結構多いので、「トップして嬉しくないカード」が中盤以降多く、そこにトップして嬉しくないカードを更に増やしてしまうのはあまり精神衛生上良くないなと思いました。

まぁ本当に必要なのは《渦まく知識/Brainstorm》なんですよね。見果てぬ夢ですけど。

・4-b 海の枚数について

減衰球を入れてからストームには何度か当たりましたが、1回も引いてません、が一応きちんと勝ってます。メインの時点でキープして明確に裏目になるハンドが少ないですし。そもそもストーム相手にこれ込みだとイン・アウトの勘定があってなくて、ズアー1枚とミシュラン1枚と……なんてサイドになりかねないので怪しいです。

逆にトロンは減衰球を出しても余裕で負けてるので、ドローもできるし効果も割と似たようなもんなので、海でいいかなぁと思わないこともないです。もしくは《儀礼的拒否/Ceremonious Rejection》の増量。置物対策だらけだとやはりあれなのでこちらの方がいい気はします、刺さる範囲が狭いですけれど。ミシュランが多い相手とかも一応見られるので、海をサイドに追加で1枚取ってどうこう、というのがいいかも知れないですね。

減衰球を入れると自分の《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》を使いづらくなるのも減点。2枚貼ったら墓地の思考囲いが2Bになったのは!?ってなりました。


・採用すべきでないサイド


呪禁はハンデス対策に力戦キープしてくるので、布告系、よく使われるのは《神聖な協力/Blessed Alliance》、をサイドに取るのは望ましくない。呪禁対策したいならエンチャント破壊でやること。

無難なのは《解呪/Disenchant》。実はアーティファクト割れるカード殆ど無いし、ただこのカードはトロンにあまり効かないのが辛い。

・《不忠の糸/Threads of Disloyalty》

数少ない、ズアーでサーチできるはっきり強いと言える動き。4マナで単体で速攻もないクリーチャーを使うという縛りをデッキに課すなら相応のリターンが必要。入れるべきだと思うが、強い範囲が狭いのも確かなのでどうかなぁ感もある。

・サイドに3枚目《神格の鋼/Steel of the Godhead》?

昔の体験談として、こちらトラフト叩きつけ→返しに月→土地の中に1枚基本平地を混ぜていたのでこれを貼って4/4、全体3点火力の圏外に逃げてそのまま勝ち、というものはあります。混成マナによる色拘束の軽さは偉い。

WUBというカラーパターンは月に対し非常に弱いので、月を入れるようなデッキに対して(出せれば)明確に強いトラフトは重要。月を貼られても結構出せて、勝ちを決定づける鋼も重要。
リストの原型はこれ。

モダンズアー:使う前段階での覚書
http://85160.diarynote.jp/201701112022467243/


現在のスロット割はこうなっています。

土地24

ファストランド4
4 Darkslick Shores

フェッチ9
4 Flooded Strand
4 Marsh Flats
1 Polluted Delta

伝説支援土地2
1 Shizo, Death’s Storehouse
1 Eiganjo Castle

サーチ先各1枚ずつ
1 Watery Grave
1 Hallowed Fountain
1 Godless Shrine
1 Snow-Covered Island
1 Snow-Covered Plains
1 Snow-Covered Swamp

ミシュラン3枚
3 Celestial Colonnade

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クリーチャー8(+4)

4 Zur the Enchanter
4 Geist of Saint Traft
4 Snapcaster Mage

ハンデス8
4 Inquisition of Kozilek
2 Thoughtseize
2 Collective Brutality

軽量除去7
4 Path to Exile
3 Fatal Push

何か軽量ドロー4
4 Opt

エンチャント(空いた枚数)
1 Spreading Seas
1 Detention Sphere
1 Runed Halo
2 Steel of the Godhead

サイド

瞬唱コン系の定番サイド
1 Ceremonious Rejection
1 Dispel
1 Countersquall
1 Celestial Purge

ズアー関係なく優秀なエンチャントサイド
2 Rest in Peace
2 Stony Silence

ズアーと組み合わせる前提のエンチャントサイド
1 Nevermore
1 Threads of Disloyalty
1 Ghostly Prison

後4枚は適当に、僕はモダンのことがよく分からないのでとりあえず減衰球2枚と未練とPWを1枚ずつ取りました。

2 Damping Sphere
1 Lingering Souls
1 適当なPW


1. 土地について

当初《血清の幻視/Serum Visions》を使っていたので、1ターン目に青をアンタップインする必要がありました。このカードは特にマナスクリュー気味の初手の場合、1ターン目と2ターン目では強さが全然違う、より正確に言うと「1ターン目以外だと弱すぎてどうしようもない」カードなのでこの点は大事です。

また、1マナハンデスはやはり最初に撃ててこそ。以上から青黒をアンタップインすることを求められるので青黒をファストランドで供給。白マナ量が減ると困るので、これに伴ってミシュラランドは青白になりました。

別に白黒でも、他で白マナを補っての青黒でもいいですが、青白にだけあるメリットとして、《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》がこのミシュランの並んでる前に立っていれば相手がコントロールミラーと考えて火力で瞬唱を焼いてくれるかも知れないというものがあります。脳内で考えただけですが。青黒や白黒のミシュランを見せると、稲妻圏内かつ瞬唱より強いので多分火力を温存されます。結果としてズアーに2枚火力が当たるかも知れません。

伝説支援土地はほぼトラフト用です。特に白は青系相手に、瞬速で飛び出てくるブロッカーにトラフトを討ち取ることを許さないために入っています。相手がパワー3以下クリーチャーを1体だけ残して殴ってきた後に手札から出すとうまぶれて気持ちいいかも知れません。黒と違って実際に起動しなくても回避できるのがいいところ。

フェッチランドを白絡みに偏らせているのは、可能な限りショックインを避けるためにファストランドで出せない色の基本土地をフェッチしたいということと、月への対処手段は基本的に白いという2つの観点で、基本土地3種の中で一番持ってきたいのが平地だからです。

2. ハンデスと除去について

スロット割が本当にこれでいいのかは分かりません。思考囲いの方がやはり強いですが、2枚以上引いてしまうと痛すぎて耐えられないので抑えたいとも思います。ジャンドみたいなデッキと違ってクリーチャーを出せば盤面制圧とはいかないですし。

プッシュは要らない相手には本当に弱いですが、除去枠を蛮行の3枚目以降に回してしまうと、除去としての性能の低さに悲しい思いをするケースが増えそうな気がします。割り切ってプッシュ多めの方がいいかも知れません。ただ、蛮行はモダン環境での《渦まく知識/Brainstorm》を期待して入れている点もあるので、あまり減らしすぎない方がいいかと。

一人回ししてバランスを決めた後、何か参考になる情報無いかなと調べたらコジ4, 囲い2, パス4, プッシュ3, 蛮行1のリストがありました。まぁ多分こんなバランスに落ち着くんだろうと思います。

3. 軽量ドロー枠について

入れないと瞬唱の運用に支障をきたすケースが発生します。何かは使う方がいいでしょう。

4. エンチャントの枚数について

4-a 《神格の鋼/Steel of the Godhead》

《神格の鋼/Steel of the Godhead》は絶対にメイン2以上です。

当たり前ですが、ズアーなんて不安定な要素を途中に介さず、3Tトラフト、4T神格の鋼、8点パンチして4点ゲイン、大勝利!ってやる方が勝ちやすいに決まってます。呪禁やエンチャントへの対応手段が少ないかほぼ無いメインでは尚更。

ズアーでのサーチ、つまり3Tトラフト、4Tズアー、5Tにアタックでトラフト用の鋼を持ってきて両方とも攻撃が通るという動きはズアーの能力誘発条件を最大限に活かしていて気持ちいいです。うまぶりポイントが心の中で溜まっていくので嬉しいのですが、これだけに頼ってしまうとやはり裏目が気になります。デッキに1枚しか無い場合、《神格の鋼/Steel of the Godhead》をうっかり引いてしまうと、サーチで出せずに3マナ払う必要がある上、カウンターやハンデスをされると詰みかねません。

また、とりあえずズアーでしのいでいる最中、後々引いたトラフトに鋼をつけたいと思うとズアーにはつけられないという状況が発生し得ます。なので2枚以上です。過去、メイン2-サイド1までは試したことがあります。メイン3は流石に腐りそうでやったことがありません。

4-b 《広がりゆく海/Spreading Seas》

《広がりゆく海/Spreading Seas》は、単体の性能として及第点でありつつ、しかもズアーで複数枚重ねることに意味があるという素晴らしい選択肢です。ただ、ハンデスメインなので序盤のテンポを失うことに加えて、色マナ拘束がどツボに嵌らない限りテンポを失う海を大量に入れてしまうと、アグロにもミッドレンジにも瞬殺されそうな気がしたのでメインプランに据えるのは諦めました。

後はまぁ、ズアーが殴る5Tに色マナ拘束しても遅いでしょとか、海を大量に取るとその分のテンポロスを取り返すためにボードコントロールに寄せる必要があり、結局ズアーが無い青白コンの方がデッキ全体で一貫して目標に向かっているので良さそう、という問題があるので、大量採用はあまりやりたくありません。

4-c 《拘留の宝球/Detention Sphere》

1枚は絶対入ります。問題は2枚目以降です。ただ、素で引いてクリーチャー相手の単体除去として使って強いかと言われるとそんなことはないので、ズアーで緊急避難的にサーチする1枚で十分かと。勿論、メインに入れられる置物対策としては極めて優秀ですが、サイド後は結局エンチャント破壊で取り返されてしまうので、総合的には複数枚採用する程に信頼が置けるカードではないと思います。

4-d その他

マッチ次第で文字通り1枚で勝てて、それでいてそれ以外でもゴミという程ではないという点を重視して選んだ結果、《ルーンの光輪/Runed Halo》になりました。

5. サイドボードについて

ズアー関係なく使われるレベルのカードはいいですが、問題はその他です。メインでエンチャントを少しでも見せてしまうと、サイド後はエンチャント破壊と戦うことになります。

このことから、サイドインするエンチャントは本当に劇的な効果があるもののみに絞り、残りはins/sorで賄う方がいいと思います。また、赤と白が入るデッキ相手のサイドでアーティファクトは絶対に避けましょう。Wear+Tearで雑にニコイチを取られるのは嫌ですよね?

それと、その1でPWというカードタイプに対する呪詛を吐いておいてこれを言うのは負けたようで辛いですが、サイドインする選択肢として「置物破壊が当たらない置物」であるPWは極めて優秀です。火力減るでしょうからPWが焼き殺される確率下がりそうですし。テフェリーとかリリアナとかジェイスとかカーンとか強いんじゃないですかね(適当
では殴るとして、相棒は何なのか。まぁ明らかな正解なのがトラフトです。これを入れるとどういうメリットがあるかというと、

1. ズアーが簡単に殺されてしまいそうなボードコントロールよりのデッキに対して強い

2. ズアーだと遅くて間に合わないことが多そうなコンボ相手にもチャンスを作れる

3. 《聖トラフトの霊/Geist of Saint Traft》+《神格の鋼/Steel of the Godhead》は、3マナ以下エンチャントで実現できる数少ない明確に強いと言えそうなレベルの、しかも勝ちに向けて前進する動きである

「~そうな」ばかりなのは基本的に僕はモダンプレイヤーではないので、遠い昔の記憶とリストを見ての素人判断が情報源だからです。さておき、3. が特にズアーデッキとしては重要な所で、ネクロなんてないモダン環境では唯一と言ってもいいと思います。3マナ以下エンチャントでできるのは基本的に相手のアクションを阻害する、後ろ向きな動きです。後ろ向きなことをいくらしてても勝ちとの間には大きな隔たりがありますし、それが噛み合わない相手には、ただ邪魔なカードがデッキに入っているに過ぎません。後ろ向きな方向で勝ちたいなら結局前回参考として提示したプリズンみたいなことをする方が……というのもあり。

というわけで、目指すべきデッキのメインコンセプトは、

ハンデス+いくらかの単体除去で相手を妨害、トラフトに《神格の鋼/Steel of the Godhead》をつけてのフィニッシュを目指す。その過程でズアーでのコントロールや本人に神格をつけてのビートダウンをすることもある。

こんな感じになります。

残りの論点は、
a. 他の、特に《神格の鋼/Steel of the Godhead》のエンチャント先になるクリーチャーは必要か?
b. 除去やハンデスをスペル(ins/sor)で行うか、それともエンチャントを含むパーマネントの能力で行うか?
c. ズアーでシルバーバレットする前提のエンチャント、何にする?
といったところでしょう。

個人的には、
a’. CIPで完全に元を取れるもの以外は不要
b’. スペルでやる方がいい

と思っています。

aについては、早い話《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》のことです。裏目を引くことがまずありませんし、除去/ハンデスの追加としてトラフトやズアーの前のお膳立てをしてくれます。

下手に除去が当たると困るクリーチャー、具体的には《翻弄する魔道士/Meddling Mage》や《潮の虚ろの漕ぎ手/Tidehollow Sculler》を混ぜると、相手の弱めの除去とそれらを交換することになり、ズアーの折角の強みである、当たる除去が限られていることを活かせなくなります。

bについては、aで瞬唱を入れることになっている分の兼ね合いもありますが、エンチャントによる除去がテンポ的に間に合うなら苦労はしません。エンチャントで除去してコントロールするより、インスタントで除去してコントロールする方が、軽くて対応範囲が広い上に何より相手のターンの動きに対処できるので強いです。

トラフトを採用する場合はなおさらで、飛び出てきた瞬唱やヴェンディ、起動されたミシュラン辺りをブロック前に黙らせることができないと、折角トラフトが強い青コン相手なのに、使ってる除去が弱いせいでトラフトが強くない、という事態が発生し得ます。

要するに、トリコトラフトのエスパー版~好みでズアーを添えて~みたいなデッキにするのが、「このデッキ、多分ズアーが足引っ張ってるな?」と感じることが少なく、かつ現実的に戦えるレベルのデッキになると思います。

《神格の鋼/Steel of the Godhead》という単体では明らかにアンプレイアブルな、しかしトラフトを出せてる場合限定で超強力になるカードをデッキに(複数枚)採用することを正当化するためにズアーが入っていると言い換えることも可能です。

余談ですが、昔のルールではこのカードを2枚貼ったズアーは5点パンチした時に10点ゲインすることができました。流石に強かった。
ここでの定義はズアーを3~4枚は積んで、まぁ相応には主軸として運用したいという目的で構築されたデッキとします。というわけでズアーのカードとしての性質はどういったものかから考えることになります。まずは悪い点から考えましょう。

悪い点

1. 4マナ(凄く凄く重い)
2. 出たターン何もしない

当たり前ですがこれらは本当に致命的です。

コントロールデッキのアドバンテージ源(兼フィニッシャー)として、似たようなマナ域のカードであるPWと比較してみましょう。対象は今をときめくテフェリー兄貴。

彼は、

1. 5マナだけど実質3マナで軽い
2. すぐにドローor除去ができるので、即除去されても+1アド
3. PWなので干渉できるカードが限られる

という美点を持っています。つよい。ただし、難点もやはりPWであることで、クリーチャーの大群に襲われるとしんどいわけですね。神ジェイスがモダン解禁直後の巷の予測程の猛威を奮ったわけではなかったのは、やはりクリーチャーが大変強い上、レガシーのように1マナスイーパーや0マナカウンターが使えるわけではないので護身が安定しないことが大きいでしょう。まぁ、テフェリーの方が環境にあってて入れ替わってしまったという世も末な状況のせいもあるでしょうが。

ではどうすればいいのか。単に「PWとかいうカードタイプはそれまで時々使われてた中~高マナ域システムクリーチャーの居場所を完全に奪ったゴミ、システム上の汚物、本当にクソ、スカラベみたいな戦闘要員としてもムキムキかつ能力も強い、みたいなのしか許されなくなって結局インフレを加速した」と悪態をつくだけでもまぁいいんですが、それでは結局ズアーを使えなくて悲しいのでクリーチャーであることの利点を活かす方向で考えましょう。

そう、ズアーはクリーチャーなので、相手のクリーチャーの攻撃で死なないのです!

何を当たり前のことをと思うでしょうが、つまりこれは必ずしも相手のクリーチャーを一掃あるいはそれに近い状態にしてから出すことを要求されないことを意味しています。序盤の動きをボードコントロール全振りにしなくても良いわけですね。

という所までがズアーのカードタイプとマナ域からの考察です。

次いで、ズアーの能力の良い点を考えてみましょう。

1. クリーチャーとしては除去耐性がマシな部類
2. 飛行を持っているので割とブロックされない
3. 出た次のターンからは0マナで盤面に干渉できる

こんな感じです。先程までの話をこれと組み合わせると、

・序盤は相手のそう多くはないズアーへの対処手段をハンデスで予め阻害
・その間、テンポを失うため盤面は不利になることがしばしば
・それらはとりあえず死なない程度に多少の除去でごまかして、ズアーの能力で一気に盤面をまくる

こういうゲーム展開が理想と言えます。

MTGで相手に干渉する手段としては、除去、カウンター、ハンデスがありますが、除去に寄せるならPWを使った方がずっと強いです。カウンターは普通ソーサリータイミングでしか出せず、4マナもかかるズアーと併用するのが現実的ではありません。他2つでは消費されていた相手のマナが浮いてしまうので、この3つの中ではハンデスが一番弱いですが、相手の除去に対処でき、かつズアーとの併用が容易である点を考えるともっとも相性がいいと言えます。どうしてもデッキに黒が入ってしまいますし。

ここまでをまとめると、ハンデスで相手の鍵となる動きを阻害しつつ、単体除去(ズアーで持って来るエンチャントを含む)で盤面にそこそこに対処してズアーを出すのが現実的に良さそうだとなります。

それでは次の課題へ移りましょう。

当たり前ですが、その現実的に良さそうな動きをするにしても、4ターン目にやっと出てきて速攻もないズアーをメインプランに据えてしまうと間に合いません。また、エンチャントによるコントロールに寄せすぎると別の問題が発生します。完全にエンチャントで護身することに絞った方がデッキの構成として一貫性があるので強そうだというものです。

例えばこんなやつです、デッキタイプは赤白プリズン。

https://www.mtggoldfish.com/deck/269812#online


この矛盾はなかなか手強い相手なのでおとなしく回避しましょう。

というわけで、ズアーが入るべきデッキ、満たすべき役割は、基本の勝ち筋をクリーチャーによるビートダウンに置くデッキで、エンチャントをサーチできる性能によってサポートをするというものになります。

第2.5回原稿その2

2018年4月24日 動画
第2回冒頭(つまり第1回の終わりの)《虹色の断片/Prismatic Strands》をめぐるあれこれです。

ゆかり

あ、前回の補足というかコメント返しみたいな感じですが、相手が敢えて統治者を奪還せず防戦に徹する選択が本当にあり得るかどうかについて。9ラウンドかけてやってきた決勝で、メインで負けていて、墓地にときの声があり、通って殴れれば統治者を奪還できる状況でFBせず、32枚もあるライブラリが尽きるのを待つという選択をする人はまず居ないと思います。普段のゲームなら、こういう選択も一つの実験として試すこともあるかも知れませんけれど。テトさんに、実際やるかって~と補足して貰ったのもそうした理由ですので、無意識に消していたというのもきっとそうでしょう。

ただ、過去に多少似た状況がありまして、10月に参加したPauper Challengeのシングルエリミネーション1回戦。ここでボロスに当たって、メインで長引いて負け。サイド後、消耗戦の末に宮殿の歩哨が通ってしまい、かなり頑張ってライブラリを掘って除去にたどり着いて、総攻撃すれば統治者を奪える状況になりました。ただし、その代償としてライブラリは薄くなってしまい、こちらの攻め手がそれまでの過程で消耗していることも合わせると、統治者を奪って2ドローし始めると、相手のライフを削り切るまでにこちらがライブラリアウト負けするという予測が立ちました。ここで私は悩んだ末、統治者は奪わず、ドロー呪文でカウンターをかき集め、相手のライブラリアウトを待つという選択をしました。結果としては相手ライブラリ残り2まで粘ったものの敗北、そこで敗退となりました。

詳細はリプレイが既に消えているので見返せませんが、G1,G2ともに長引いて時間が押していて、しかも自分はG3で勝たねばならないというプレッシャーに追われて、粘る途中でミスをしたような苦い記憶が残っています。統治者を奪わないという選択が正しかったかは負けた翌日真っ先に検証したので、ライブラリーが尽きてしまうという判断自体は確かなんだろうと思います。結果も踏まえて今ぼんやり考えると、とりあえず攻撃しておいて追加ドローを稼ぎ、相手がこちらのライブラリアウトの可能性に気づかず統治者を奪還してくれることを祈るのが唯一の勝機だったのかなぁとも。

勿論、その時とこのケースではライブラリーの残り枚数も、攻めに回って統治者を奪える可能性の見た目上の高さも違うでしょう。なのでこれ自体は全然応用の効かない話です。ただ、自分が過去にしたプレイを完全に忘れてしまっていて、気づいていない所でリスクが実は増えているのに、素直で、裏目のないプランよりもひねったプランに飛びついてしまったのは良くなかったな、と。より詳細にするとこういう感じです。

前回紹介したのは、この「良くなかった」部分とその理由は他の場面でも応用が効く話だと思ったからです。

第2.5回原稿その1

2018年4月24日 動画
【青赤氷雪デルバー】雪ん子テトさんとゆかりさん2【Pauper】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm33002518


動画の第2回で予告しておいたプレイ検討編です。ひたすら喋り続けるだけなので特に動画にするメリットなくない?と気づいてしまったので省エネでこちらに。

ゆかり

さて、前回チェックしておいたのは3つのポイントでしたね。

5ターン目、電謀で流された返しに何をするかがポイント1。
6ターン目、思案でクリーチャー3枚が見つかった後どうするかがポイント2。
相手の7ターン目、悪党に未達を使われた時がポイント3。

テト
まずはポイント1について。ただ、これ実際どうするのが良かったのかってのがいまひとつわかんないんだよね。いくつか案を上げて、それぞれのメリットとデメリットを提示していくね。

A案は、実戦でやった、島サーチ+スプライトの2枚構え。

これのメリットはなんと言っても相手が1マナスペルを使ってくれれば確実にアドが取れるし、ほぼカウンターもできる所。

ゆかり

鷹→スプライト→火力→スプライト、と進むと、もう1枚火力を使って2枚目のスプライトが焼かれたとしても、最初の鷹と火力1枚目はいずれもカウンターされますからね。対抗するには火力をさらに1枚使って合計3枚使うか、電謀で薙ぎ払うか、紅蓮破で2枚目のスプライトが場に出る前にカウンターするかですが、後ろの2つは電謀を使用済みのメイン戦では不可能です。火力3連打プランは、結局1枚目の火力を完全に無駄にさせているので、鷹は通りますがアドバンテージは確実に取れています。

テト

デメリットは、相手が1マナスペルを使わなかったら構えたマナを丸損して1ターンを無駄にする所。

ゆかり

実際そうなってしまったのは敗因として無視はできない割合を占めていそうですね。


テト
次にB案、やせ地で島サーチからの定業。

これのメリットはまぁ分かりやすいことだね。定業でドローが見つかったら繋げていけばいいし。デメリットは、相手が火力を持っていそうな現状でスプライトを1枚だけ構える意味は薄いから、定業でマナを有効活用できる何かが見つからないとやっぱりマナが無駄になるってことかな。それと、1枚目が焼かれてるんで、占い師2枚目が見つかった場合はできればスプライトを構えて出したいからこのターンには使いづらい。つまり定業で引いて嬉しいものが実は結構狭い。



最後にC案。まず定業から入って、ドローの結果次第でやせ地の島サーチで3マナか、通常プレイで4マナかを選ぶってプラン。

ゆかり
メリットはこのターンの定業とスプライト構えを両立できること。デメリットは、まず見つかったもの次第では、定業で不要カードをボトムに送った後にやせ地でシャッフルする非合理的なプレイになること。もう一つのデメリットは、やせ地通常プレイで4マナ立ててゴーは、流石に怪しすぎるのでスプライトを最低1枚+何かを構えてますよってのがはっきり分かるところですね。

スプライト2枚か、スプライト+対抗呪文か。どちらにせよ1マナカードを持ってても使っては来なさそうです。結局、構えるマナが無駄になる可能性は最初のプランより高そうに思えますね。

整理してみるとどれも一長一短ありますね……実戦で最初のプランを選んだ決め手ってありますか?

テト
割と追い込まれてるから逆転を狙ってリターンが一番大きいやつを選んだ。

ゆかり
ああ、一か八かって感じですか。大抵裏目に出ますよねそういうの。

テト
うぐぅ。

ゆかり
とまぁ、何が正解だったのかは正直よく分かりません。

強いて今何かを選ぶならば、最初のプランで負けていますし、相手は検査官を2枚、鷹を1枚既に使っていますから、メインでの1マナアクションを取る確率は低いと見て、スプライトを構えるのを諦める2番目のプランを選ぶべきだったかな、という感じです。ただまぁこれはこれで手札の2枚のスプライトが死に札になっているので、そんな状態で本当に逆転できるのか?と問われたら疑問ではあります。

ゆかり

次のポイント2は、忍者はボトムに送るべきって話ですかね。自分が死にそうならば攻めるカードの忍者の価値は低い、という。

テト
ただねぇ、二枚目の忍者って普段のボロス相手ではもの凄く嬉しいんだよ。体感かなり勝率が上がる。

そもそも悪党を薙ぎ払われちゃってる現状、もう相手のハンドが濃かったら勝ち目薄いし諦めて、実はハンドが微妙だった時に勝てる行動を取るべきって説も一応考えられなくはない。実戦ではここまで考えてなくて、普段の感覚で上に残しちゃっただけだからミスなんだけどね。そもそも~の所まで考えたのならばOK。


ゆかり

忍者をボトムに送り、占い師のヒット率を上げた上でタップアウトで出す選択も一応ありましたが、占い師をできれば守りたかったので、という話はポイント1のBと同じです。占い師が2枚目も即焼かれてしまうと検査官を止める術がいよいよ乏しくなってしまいますから。

ゆかり

ポイント3は未達にスプライトを使わなかった判断の是非。

テト
火力持ってたら焼かれるだけで、実際ほぼ持ってたわけだけど、結局ボク本人が焼け死んだよね。なら1%火力がなくてカウンターできることを祈る方が、勝ちを目指すプレイとしては正しかったのかも?って。

ゆかり
まぁ実戦ではほぼ持ってましたからどちらでも負けですけどね。ただ、これでスプライトは無いと相手が判断してタップアウトで歩哨が出てきましたから、結果的にはこの判断で微かに勝機が増えたとも言えるのでは?

テト
結果論な気もするけど、実際コンマ単位では逆転の目が出た気がしないでもないし、例によって逆転のための勝負手って意味ではスプライト温存が明確に勝るプレイだったと言えなくもないのかな?うーん、これも対戦中はとてもここまで考えられてなかったなぁ。これ絶対焼かれるから出せないよってだけ。

ゆかり

ゲームの最中は、検査官連打スタートだし、電謀まで引いてるし、相手ブン回り過ぎなんだけど位にしか思っていませんでしたが、探してみればプレイを考えるべきポイントはありましたね。
DN界でなんちゃらからレガシーを~が流行ってるみたいなので折角だからと。

と言いつつも、正直全然オススメできる選択肢ではないので、クロパが好きな方でもとりあえず青単を使ってください。

青単はマナベースでストレスを抱えることがなく、やることに一貫性があり、何をされるとまずいのかが明確で、デッキ相性での有利不利がある程度はっきりはしてしまうものの十分に強力なデッキです。MOだとDazeがちょっと高いですが、一応なくてもなんとかならなくはないですし、氷雪土地という汎用性皆無のパーツにチケを費やすことになる青赤氷雪よりも損した感は少ないはずです。

青単でPauper環境に存在する各種デッキの強みと弱みに慣れ、自分の使うカードの特性を把握した上で青赤氷雪に移行すれば、氷雪のG1におけるメインプランであるDelver-Go戦略の運用は予習済みなので問題なく使えますし、その他のプランを選択すべき状況が見えやすくなります。

氷雪はマナベースを凄まじく弱体化させて、必然的に速度を落とすことと引き換えに対応力を増し、プランを相手次第で選べるようにしたデッキなので、実質的にはテンポデッキの殻を被ったコントロールデッキです。マッチごとに何をすべきかを把握していないと、極めて不出来なテンポデッキとしか感じられないでしょう。

これはMTG自体への習熟度が高く、他環境で極めて優秀な成績を残せるプレイヤーでも例外ではないと思います。

サンプル:
A Pauper Adventure by Pascal Maynard
https://www.massdrop.com/talk/3508/a-pauper-adventure?utm_source=linkshare&referer=undefined

>I was seriously disappointed by the manabase here, you lose lots of tempo by not being able to cast Counterspell or Lightning Bolt on curve and by lacking the mana to chain cantrips.
(リストを使ってくれたのは嬉しいです、結論はともかく)


このブログで紹介している、サイド後に大きく速度を変えたりするプランは、何度かメインそのままの構成でサイド後も対戦してみて、相手の何がきついのか、どこを意識しながらプレイするといいのかを把握していないとあまり役に立ちません。

結論として改めて述べると、青単で環境と自分のカードに慣れてから青赤氷雪を使うべきです。更に言うなら、青単の前にワンクッション、ストンピィを経由しておくのがいいです。Pauperは他構築環境と違い、デッキが安いので乗り換えが非常に簡単です。その点を活かさない手はないと思います。

------以下は体験談------

Pauperリーグ実装を受け、僕が本格的にPauperを始めようと思った時に最初に手に取ったのは青黒デルバーでした。「このデッキだけ明らかに使ってるカードがレガシー級で超強そうじゃん!」という理由での選択でしたが、見事に負け散らかし、減りゆくチケットに凹みました。

ゴブリンに当たるたびに負けていたので、当時のメタにあっていなかったのも原因の一つでしょうが、僕自身の腕、具体的には環境の理解が全然足りていなかったのが最大の問題だったと思います。そしてクロックパーミというアーキタイプはそういうプレイヤーが使うと無限にミスを連打し、勝ちは夢物語になってしまいます。

そこで方針を転換し、まずは自分のやることが明確なアグロ、ストンピィを選択。さらに、自分のプレイミスが発生しうる局面を減らすことと、入ってないのに警戒してもらえるのが一番効率いいという八十岡プロ理論を意識し、当時標準採用だったジャイグロ系を減らして、代わりに扱いが明確な《骨断ちの矛槍/Bonesplitter》を大量投入しました。

この調整が青単とストンピィが2トップだった当時のメタに非常に良く適合していたのもあり、勝てる→勝って得たPPでリーグをはしご→やってるうちに環境の理解が進む→他のデッキを使っても勝てる、と好循環を形成して今に至ります。

「環境の理解」と「自デッキの理解」が足りていない状態で、マナベースに不安を抱え、発生する選択肢の量が膨大な青赤氷雪を使ってしまうと、程度の差こそあれ、これと似たようなことが多分起こります。

この話は別段氷雪に限らず、オリジナルデッキでPauperをやろうという人にも応用可能です。まずそれなりに実績があり、やることが分かりやすいデッキで環境に慣れておかないと、いざ自作デッキで挑んで負けた時に、デッキに問題があるのか、自分の腕に問題があるのかの区別が付きません。

ストンピィは、《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》以後はプレイで悩む必要性がかなり減っていますが、それでもかつての対話デッキの残滓はあります。程々に悩み、ぶっぱでも結構勝てる、そしてされると嫌な相手の動きが明確で、かつその知識に応用が効きやすいという環境把握の練習用には極めて良いバランスのデッキだと思います。
プレイで悩んだ場面の記録用。


対ANTG2後手。自分はURデルバー。

初手は島、デルバー2, Daze,FoW, ギタ調、パイロブラスト。
秒でキープ、とりあえずデルバースタート。T1のドローはブレスト。

相手の初動は島から思案、シャッフル。


疑問1:相手の先手T2の行動は土地を置く前に定業。これはDazeするのか否か。

実戦ではFoWあるしコンボ開始時に迎え撃つ方がいいのかなとスルーした。トップトップで1ドロー。フェッチセット、ギタ調で積んだカードを回収、更にフェッチ前にもう1回ギタ調。フェッチ前に2回目ってことは土地がもう1枚欲しいっぽいのかな?

疑問2:何事もなく後手2Tのアップキープを迎えた時、ブレストを使うべきか否か。

使ったほうがいいかも知れない理由:デルバー2枚目をFoWの餌にするのでいいなら、ナチュラルドローが土地でない場合はT2メインにブレストは使う。ならば1枚見られる枚数が減るがANT相手だしアップキープに使って確実に変身させ、早いクロックをかけるべきではないか。

使わない方がいいかも知れない理由:デルバー2体目も出せば、早ければ後手4Tに削りきれる。1枚で即変身の場合は後手5~6T目位。

ならば2T目に使える青マナはデルバーを出すことに使い、土地や変身は自然に任せる方がいいのではないか。ブレストを使うとしても、カードの性質上3枚引いて土地がなかった場合はかなり辛いので、当然1枚多く見られるメインの方がいい。

実戦ではこの場面は訪れなかった。もし訪れていたらうーん。とりあえずデルバー2体目を出す方がいい気がする。

疑問3:そんなことを考えていたら、アンシーフェッチから残りマナなしで儀式を使ってきた。これはDazeで打ち消すべきなのか。

打ち消さなかった時、ハンデスでFoWを抜かれて儀式連打から1マナ浮いたまま悠々とコンボスタートされるのが最悪パターン。打ち消した時はとりあえず1ターンの安全が買えて、次にブレストで何かを探しに行ける。実戦では存在を知られたのなら、とDazeを使った。

この後は、都合よくFoW2枚目がトップから降ってきてデルバーが変身。喜んでデルバー2体目を出し、強迫でブレストを抜かれ、4Tに儀式→LED3連打からストーム4の触手を撃たれるなどがあったがデルバー達が迅速に殴りきった。結果を見るなら使って正解っぽいのかな。
Hareruya Pros Blogから。具体的なデッキについて語った記事も多いが、その背後にあるプロプレイヤーの思考を読み取りやすいものを選んだ。

教えてヤソ先生 「グリクシスコントロール」編
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/3490


この当時の環境のみならず、汎用的なコントロール構築理論が語られている。読んだからといって一般人が真似できるかは別の話だが、読んで面白いのは確か。


パズるべきかパズらざるべきか、それが問題だ
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/3679

【要点その3】どれだけパズルを上手に解けるかではなく、どれだけ多くのパズルを解けるかが重要だ



簡単なデッキを選ぼうじゃないか
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4498

俺が言いたいのは、プレイが簡単というのは明確にデッキの利点なのであり、欠点などでは断じてないということだ。



モダン最速のコントロール:エスパー《御霊の復讐》
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4845


コントロールというアーキタイプの持つ問題点を洗い出し、モダンで使えるカードでどうそれを解決するか、というアプローチの仕方が語られている点で良記事。


まだ潜在能力が吹き荒れていないあなたへ贈る
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4882


モダン環境に放つ新たなデッキ ~サヒーリ・シスターズ~
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4021


この2つの記事からは、弱いデッキのどこが弱いのか、それをどう変えればマシになるだろうか、という分析の仕方を学べる。


トーナメントにおけるデッキ選択について -強者か、弱者か-
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4996


トーナメントに対して準備するにあたり「食物連鎖のピラミッドの中でどれぐらいの位置に自分がいるか」を理解することが、一番最初に行うべきことであり、そして一番難しい部分でもある。



原根健太のGP台北2016レポート
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/3022

ただ漠然と「ミスをしないようにする」ではきっとミスは減りません。

ミスは意図しない状況で発生するものであって、大方の場合その気配にすら気づくことができません。これまで犯してきたミスの一つ一つを思いつく限り書き出して並べ、傾向を分析することにしました。



本人の言葉を引用する方が、私が拙い説明を書くよりも当然良いのでそうしている。決して手抜きじゃないよ!これは個別デッキの話じゃない?とタイトルで思ってしまいそうな記事には一応説明をつけた。
気がついたらほぼ丸一月も経ってしまったけれど、先日のぱうちゃれ決勝を使ったボイロ動画がようやく完成したので投稿。

【青赤氷雪デルバー】雪ん子のテトさんとゆかりさん【Pauper Challenge決勝】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm32941795


ここのプレイはこんな意図があった、ここはミスった、とかあーだこーだ喋ってる動画です。
良ければ見てみてください(乞食
コラムに分類されているものから、私のように記事の中で取り扱われているフォーマットにあまり興味がないプレイヤーでも読む意味があると感じたものをピックアップする。

今だからこそ読み返したい!happymtgの連載コラム傑作選!
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/1175


とりあえず記事筆者の一人である高橋純也氏によるおすすめコラム一覧はこちら。目を通して損はないものが並べられている。中でも「あのクソ」と「あなたの隣の~」は良い。

プロプレイヤーの絶対感覚【マリガン編】
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/3020

プロプレイヤーの絶対感覚【サイドボード編】
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/3139

このエントリで取り上げる中で最重要。とにかく読むべき。

Rush Met a Game!
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/1141

ISD-RTR期スタンダードのメタゲームについての高橋純也氏の記事。

この種の記事は大抵の場合、「現在~が強くて、~が多いから~」というレベルの話に留まっているので、書かれてから時間が経ったり、そのフォーマットに関心がなかったりする場合は読む意味がほぼ無い。

しかし、このコラムはもう1段階深く、各デッキのコンセプトとは何か?それはどのような目的によって設定されているのか?といった所から掘り下げているので他環境にも応用が効く。

また、この頃のスタンダードは環境末期に至っても「最強デッキ」へと収束せず多様なデッキが生息しており、「過去面白かったスタンダード」の例としてよく挙げられる時期なので単純にメタゲームの移り変わりを見るだけでも面白いだろう。

工藤耕一のレガシーユニット概論
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/2430

パッケージとも呼ばれがちな、特定のカードの組み合わせに対する評価をどのように行うかという話。第二回では応用としてブロック構築のデッキに適用しているので、必ずしもレガシーに限らない考え方として有益。

超簡単にマナベース計算できちゃう早見表を作ってみた
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/2756


便利。大変貧弱なPauper界の土地を使ってデッキを組む時は特に。ちなみにこの記事にはいくらか異論が出されていた記憶があるので(詳細は自分でGoogleを)より深めたいならそこら辺も読むといいだろう。

レベルプロへの道 ~その2・不屈の随員問題とその限界~
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4667

しかし、「相手に選択肢を与えることにより秘匿できる情報はないか。その情報を秘匿する価値はどれくらいか。」ということについて、今後は一歩立ち止まって考えたいと思います。


記事中より引用した一文に興味をひかれる人は是非。

「生存バイアス」をマジックに当てはめて考えてみよう
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4850

もし対戦相手のドローが少し奇妙に見えたら、「対戦相手が初手キープを決めた要素は何だろう?」と考えよう。そうすれば、対戦相手が手札に何を持っているか、より深い洞察を得られるだろう。

攻撃は最大の防御
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/4968

まずひとつ目に、君が守る側であった場合のゴールは実際にゲームに勝つことであって長く生き長らえることではないということだ。ゲームに勝つためには何をする必要があるのか?守りを固めつつ、それと同時に勝利へ向かう道はあるのか?役割なんて忘れてしまおう。必ずしも "攻める側" か "守る側" の片方のみを演じる必要なんてないし、それらを同時にこなすことだってできるんだから。

以上2つは思考についてのMatti Kuisma氏の記事。どちらも大変素晴らしい内容なのだが、単に思考ってタグがついてるだけだと今後絶対埋もれるでしょこれ……と思ったのでこのエントリを書いた。

カテゴリ:だら調
http://www.hareruyamtg.com/article/category/tag/%e3%81%a0%e3%82%89%e8%aa%bf

これらの記事は、「何を目指して、どのような意図を持ってデッキを作成/調整するのか?」という点の思考が明確に読み取れて参考になる。

プロツアー『カラデシュ』現地レポート 1日目編
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/3426

『モダンマスターズ 2017年版』先行プレビューカード公開!
http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/3963

最期に、参考になるというよりは私が伊藤敦氏の記事のファンなので読み物として面白いという趣旨で2つの記事を紹介する。いつかHareruya Pros Blogに分類されているものについてもエントリを書く予定。

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