レガシーのへんてこデッキ名の由来まとめ
https://85160.diarynote.jp/201811242233378569/
の続き。

■Solidarity

このデッキの作者が、他の人のリミテを見ていて《結束/Solidarity》で勝ったシーンを目撃したことが由来。(レガシー制定の2004年頃の基本セットは8~9版、結束は8版にて再録)カードとしての結束は全体強化なので全くこのデッキとは関係ない。

https://mtg.gamepedia.com/Legacy_Solidarity_deck

>The name "Solidarity" comes from a Limited game where David Gearhardt witnessed a player win thanks to the card Solidarity (a terrible card in itself). This would spawn a kind of a habit in Legacy to name decks based on entirely unrelated cards (see Nausea and Rabid Wombat).

類例として挙げられている《吐き気/Nausea》《狂暴ウォンバット/Rabid Wombat》は、カードとしての効果は全体-1修正と、オーラの数だけ強化されるクリーチャー。デッキはそれぞれ卵を大量に使ったストーム、悠長な白単コン。後者は《翼の破片/Wing Shards》が攻撃前にガチャガチャ動いてから速攻してくるゴブリンに対し非常に効果的だとかいう理屈で構成されていた。もちろんどちらもデッキ名のカードは入っていない。

the Sourceのnauseaのスレッド冒頭(2005年)に「このデッキ名はソリダリティみたいなもんだよ」とあったので、2005年時点で「ソリダリティのデッキ名はデッキには入ってない結束が元である」との認識が共有されていたことは確かだと見て良いだろう。

http://www.mtgthesource.com/forums/showthread.php?2640-Deck-Nausea-Tendrils-for-the-win

>This deck is called Nausea. The reason for that is because of Solidarity actually. I figured that I would use a worthy name for a worthy deck. The idea actually came from Alix (Ob. Freely) in that, if any of you have ever heard the Solidarity story, Nausea was the reason why Solidarity was boarded in. I’m not saying that Solidarity beats this deck, because it doesn’t, I’m saying that I really like that story. XD

■MUD

デッキとしては《金属細工師/Metalworker》が特徴ということになっているが、デッキ名の由来自体は相手を多数の妨害アーティファクトで減速させる様を動詞のmuddy(〈…を〉泥でよごす,濁らせる; 曇らせる.)になぞらえたのと、アーティファクト単であったので枠の茶色に引っ掛けて、Mud(泥)の意。ここで返信している人によれば「だから別に金属細工師が入ってなくてもMudって呼んでいい」とのこと。

https://boardgames.stackexchange.com/questions/23071/why-are-mud-decks-called-mud

紹介されていた記事を斜め読みした感じ、茶単で加速手段に金属細工師ではなく覚醒の兜を用いていたデッキ(妨害は《氷の干渉器/Icy Manipulator》とかでタップしまくる)と、ウェルダーのために赤が入って妨害ファクトだらけのデッキ(まぁ多分スタックスと呼んでいいだろう)の2つのデッキを組み合わせた結果金属細工師の入ったMudが完成したのだそうだ。(つまり《金属細工師/Metalworker》ありきで組んだわけでは別にない、多分。)

http://www.starcitygames.com/magic/vintage/5930_The_Complete_MUD_Primer_Part_1_Development.html

Czech Pile (4Cレオヴォルド)

最初にこのタイプのデッキを使って勝ったのがチェコ出身のプレイヤーだったので。
https://www.reddit.com/r/magicTCG/comments/7lqxm7/why_is_it_called_czech_pile/

特に各カードが強いコンボを構成しているわけではなく、構造的にはグッドスタッフなので"Mix"ではなく"Pile(束、山)"と呼ぶのが相応しかろうみたいな考察もあった。

同国では少し意識されていた様子。

Czech’s Great Legacy – Czech Pile-
https://article.hareruyamtg.com/article/article_en_340/?lang=en

この記事の少し後にシャーマンが死んでこのデッキもほぼ死んだのはご愛嬌。

■Baseruption

Disruption(崩壊)とBase(基地)の組み合わせ。和訳しようとするなら、お前の基地の全てを崩壊させてやる!といった所になるだろうか。Baseってなんだよという部分の背景を説明すると、チームaYbというドイツの人たちが作ったデッキで、

>The deck is called “Baseruption” or, as our team nicknames it: “ayb.aseruption”

Windux(チームaYbの一人)によると、
>It doesn’t make sense in german. It’s just a combination of Disruption and Base [aYb = all your base (are belong to us) for those who know it ;)
とのこと。

http://www.mtgthesource.com/forums/showthread.php?6504-Deck-Baseruption-(aYb-Aggro-Control)

aYbは当時海外で認知度が高かったミーム。
https://ja.wikipedia.org/wiki/All_your_base_are_belong_to_us



■Deadguy Aleの別説
https://drk2718.diarynote.jp/201811280210032282/

こういう説も。納得感があるのでこれでいいんじゃないだろうか。



おまけ:エクステンデッド

■Next Level Blue

筆者が最も美しいと思っているデッキ名。というのも、エクステンデッドにおいて青いコントロールがNext Level Blue(以下NLU)と呼ばれだした時期は相殺独楽コンボが使えたので、NLUはCounterTop-Goyfからの派生デッキであった。

http://mtgwiki.com/wiki/CounterTop-Goyf
http://www.mtgtop8.com/event?e=57&d=252784&f=EX
PTヴァレンシアで優勝したCTG。使用者のRemi Fortierが若きイケメンだったこともあり日本でも多少話題になった。このデッキに存在している要素を突き詰めていったのがNLUである。

http://www.mtgtop8.com/event?e=235&d=115266&f=EX
LSVが駆ったNLUはGPフィラデルフィアでベスト4に進出している。このリストのように、初期のNLUは金属モックスで加速して速やかに相殺独楽コンボを揃え、最強のクリーチャー、タルモゴイフを壁として立ててのコントロールを目指しているのが特徴。

「従来のようにドローによるアドバンテージとカウンターの組み合わせではなく、ディスアドしながらも加速して相殺独楽コンボによってコントロールすることにより、青いデッキは次の水準へと進化した」という意味*の名前はデッキの性質を明確に表していてこの上なく美しい。それに対して、「相殺なし、モックスもなしで独楽経由で真っ当に土地を伸ばし、ドローと多めのカウンターを採用する青コン」をNext LevelをもじってPrevious Levelと呼んだのもまた良い。

*多分。少なくともPreviousの作者はNLUはそういう意味だと受け取ったのだろう。

INV期当時のエクテンでは対抗呪文がリーガルだった上、青命令もあったので普通のカウンターも十分強かった。また、相殺でカウンターできるわけがない不朽の理想や青系トロンがメタ内に一定勢力を有していたので、Previousの型にも利点が大きかったのだと思われる。例えばPrevious Level Blueが優勝したGPバンクーバーの準優勝は青緑トロンだ。

http://www.mtgtop8.com/event?e=197&d=113789&f=EX

MTG WikiにはそもそもPrevious Level Blueしかリストが掲載されていないし、独楽が禁止で退場してからは何がどうNext Levelなのかも分からない適当な青コンがNLUを名乗るようになってしまったが、少なくとも起源の段階では間違いなく次世代を感じさせるデッキだった。今見ると他の入賞デッキ達がいかにも当時のエクテンって感じがあって趣があるので是非3大会のリンク先へ。

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mw

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