レガシーブレスト論は数あるが、Pauperだと組み合わせられるカードの問題で気を使った運用を要求されるので正直読んでもあまり参考にはならない。

そもそもの使い方からして、Pauperでは相手選択式のハンデスは滅多に飛んでこないのでハンドを隠す役割はないも同然、奇跡は環境に1種類しかないし組み合わせて使うかと言われると疑問、というわけで特定のカードをトップに置く使い方はそう強くはないのでそうそう実行するプレイではない。

ただし、この記事はカードとしての本質について大変秀逸な説明をしているので必読。以下はこの記事を読んでいることを前提として進める。

渦まく知識の使い方 ネタ蒔きの徒然草
http://43458.diarynote.jp/200905100158003828/



さて、Pauper環境でのこのカードの最大の問題点は前借りした未来の返済を踏み倒す手段が弱いということ。より詳細に言えば、


返済の踏み倒しにはマナ消費を要求されて、その分ボードに干渉できない


ということだ。

フェッチによるシャッフルとしてタップインの《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》系を使う場合、アンタップインの土地と比較した時はそのターンに1マナ支払っているのと等しいため実質的にはこれにもマナは必要とされている。

これにより発生するテンポロスはPauper環境では無視できないものがある。
具体的なデッキを例として挙げよう。

《渦まく知識/Brainstorm》を4枚使う数少ないデッキの一つが青黒デルバーだ。このデッキは以下2つの要素の採用によってライブラリーをリフレッシュしている。

・トップに積んだ不要牌を《思考掃き/Thought Scour》、《留意/Mental Note》で墓地に送る
・多色故にフェッチランドを採用しておりシャッフルする

そして青黒デルバーが4枚《渦まく知識/Brainstorm》を採用できる理由は、これらの動きがアンコウに向けてのマナ加速となるためテンポロスを擬似的に無視できるという点にある。

このデッキ構造は本当に良くできているのだが、2018年2月現在、青黒デルバーはメタの一線上には居ないデッキである。

それは何故かと考えると、このテンポロスの無視はあくまで擬似的なものに過ぎず、

・毎回そう都合よくアンコウが駆けつけてくるわけもない
・アンコウを出すことがそこまで有効でないデッキもある
・アンコウに何らかの手段で対処されることもある

等で、現実的にはこのテンポロスは結構な頻度で展開の遅れとして響き、序盤に強烈な展開をするデッキ(主にアグロ)への勝率の悪さの原因となってしまうからだ。

というわけで、《思案/Ponder》や《定業/Preordain》のような打ちっぱなしでいいキャントリップと違い、《渦まく知識/Brainstorm》は強く使うのに一手間かける必要がある。その「一手間」がPauper環境では弱いため、《渦まく知識/Brainstorm》をデッキの中核に据えてしまうと最終的なデッキの完成形はさして強くはなくなる。

では何故使うのか?

Pauperは低マナ域におけるやり取りに相当程度比重を置いたデッキが多く、それらはゲームが長引くと余剰マナの使い道に困る。また、コモンはマナ域が上がっても相応に強くなってはいかず、1枚で強烈にアドバンテージを稼ぐようなカードもあまりないので、とにかく軽くて強いカードを詰め込んだ構造のデッキが多い。

自然、そうしたデッキは中盤以降マナフラッドに苦しむことになる。これを1枚で劇的に解決できる(こともある)《渦まく知識/Brainstorm》は、いくら相方となるフェッチが弱かろうが、テンポが悪かろうが、採用に値するカードだと言える。

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mw

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